読めない・書けない・聞き取れない?―英語の“発音とスペルのズレ”に悩まないために

enough を “イナフ”って読むって誰が教えてくれた?

中学生になり、初めて英語を習い始めました。(世代バレバレでしょうか、昭和末期の頃です)

「to」を習いましたが、クラスに頑なに「とぉ」と読む人がいました。英語の先生に何度も、「トゥー」と直されるのですが、直りませんでした。というか、周りにいるみんなも、「ああ、確かに。なぜトゥー、って読むんだろう?」と疑問を持ったのだと思いますが、なにぶん昭和のことでしたので、「トゥーだからトゥーなんだ」みたいな形で押し切られたような記憶があります。

とくに、小学生のときに、ローマ字を習います。このことが少なからず影響をしているように思います。ですが、英語というのは時として、発音と綴りのギャップが反しているように思えるときがあります。

読めるのに聞き取れない:なぜ文字は理解できるのに音が入ってこないのか

原因と具体例を見たいと思います。下の表をご覧ください。

原因説明
音声変化の知識不足ネイティブは単語をつなげて発音する(リエゾン、脱落、同化など)“Let it go” → “レリゴー”
“What do you want to do?” → “ワドゥユワナドゥ”
英語のリズムに慣れていない内容語(名詞・動詞など)を強く、機能語(冠詞・前置詞など)を弱く発音“I’ve been living in Tokyo for years.” → “アイブビンリヴィニントキョウ フォイヤーズ”
語順処理が日本語的英語を日本語語順で理解しようとすると、リアルタイムで追いつけない“The man I met yesterday was my teacher.” → 「昨日会った男性が先生」ではなく「その男性は昨日会った私の先生」

対策として、シャドーイングで音声変化とリズムを体に染み込ませるのがありだと思います。語順処理が日本語的になってしまうのは、多読で返り読みの癖を減らし、英語語順で理解する力を育てる。

など、繰り返しインプットやアウトプットを繰り返すことで得られるものもあります。

聞けるのに書けない:なぜ音は理解できるのに文字にできない

原因と具体例を見たいと思います。下の表をご覧ください。

原因説明
スペルと発音のギャップ英語は表音文字ではないため、音からスペルを推測しづらい“colonel” → 「カーネル」
“choir” → 「クワイア」
語彙がPassive Knowledge止まり聞けばわかるが、自分で使う(書く)には至っていない“recommend” を聞けば理解できるが、書こうとすると “recomand?” など誤綴りになる
文法・構文の定着不足聞き取れても、文として再現するには構文の理解が必要“I’d rather not go.” → 書こうとすると “I rather don’t go?” など不自然な表現に

ディクテーションという練習方法があります。英語の音声を聞いて、それを書き取る学習方法です。リスニング力、スペル、文法、語彙力などを総合的に鍛えることができます。また、英作文などをし、繰り返し書く練習をするのもありでしょう。

なぜ英語の発音とスペルはこれほどまでにずれてしまったのか

英語学習者なら誰もが一度は思うはずです。「なんでこの単語、こんな綴りなのにこんな発音なの?」と。実はこの“ズレ”には、歴史的な大事件がいくつも絡んでいます。

15世紀から17世紀にかけて、英語の長母音が大きく変化のだそうです。

たとえば、

  • name は昔「ナーメ」と発音されていたのが、現在は「ネイム」に。
  • time は「ティーメ」→「タィム」へ。

この変化は「大母音推移」と呼ばれ、英語の発音体系を根本から揺るがしました。しかもこの変化、わずか200〜300年の間に起きたというから驚きです。

ちょうどこの時期、グーテンベルクによる活版印刷技術の発明がヨーロッパに広まりました。

  • 印刷物が大量に出回るようになり、スペルが標準化・固定化されてしまった。
  • 発音は変わったのに、スペルは昔のまま残った

この“凍結された綴り”が、現代の英語学習者を悩ませる原因になっています。

このように、英語の発音とスペルの不一致は、単なる言語の不合理ではなく、
印刷技術・音韻変化・多言語の交錯という歴史のドラマの結果なのです。

この背景を知ることで、「なぜこんな綴りなのか?」という疑問が、
「なるほど、そういうことだったのか!」という納得に変わるかもしれません。

以上<読めない・書けない・聞き取れない?―英語の“発音とスペルのズレ”に悩まないために>という話題でした。

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